国立台湾交響楽団(NTSO)は16日、東京オペラシティコンサートホールで初めての日本公演「2023 NTSO来日公演~台湾を聴く(Listening to Taiwan)」を開催した。公演には日本の「国宝級」チェリストであり、同時にサントリーホール館長でもある堤剛さん、作曲家の野平一郎さん夫妻、東京フィルハーモニー交響楽団楽団長の石丸恭一さんなど多くの文化人、それに日本や台湾の政府関係者などが足を運んだ。客席の9割以上を埋める大勢の観客が音楽に耳を傾け、NTSOに惜しみない拍手を送った。なお、今回の日本公演は東京と大阪の2回のみ。次回の公演は19日午後7時より、大阪ザ・シンフォニーホールで行われることになっている。
1945年に設立された国立台湾交響楽団は、台湾で最も由緒ある交響楽団。これまでに韓国、シンガポール、米国、中国、それに昨年は欧州(オーストリアのウィーン、リトアニア)で海外公演を成功させてきたが、日本公演はこれが初めて。
国立台湾交響楽団は今回の日本公演のために、台湾で注目を集める新世代バイオリニスト、曽宇謙(ツェン・ユーチェン)さんをソリストに招いた。また、2010年にグスタフ・マーラー国際指揮者コンクールで優勝した実力を持つアイナルス・ルビキスさんを指揮者に迎え、80人編成の国立台湾交響楽団とともに若い音楽家たちのパワーを炸裂させた。一曲目はグリンカ『ルスランとリュドミラ 序曲』で観客に強いインパクトを与え、続いて2015年第15回「チャイコフスキー国際コンクール」で2位入賞の経験を持つ曽宇謙さんとチャイコフスキー『ヴァイオリン協奏曲Op.35』を協演した。最も盛り上がったのは『音楽百年』組曲(張菁珊編曲)で、「登山列車」、「望春風」、「阮若打開心内的門窗」、「美麗的稲穂」、「客家本色」、「天佑台湾」など台湾で広く知られる曲が次々と奏でられた。アンコールを受けて演奏したのは『高山青』(鮑元愷編曲)で、力強い旋律と素晴らしい演出に会場全体が多いに沸いた。